Mindstormsは、ロボットから始まったのではなかった
LEGO Mindstorms。
ロボットプログラミング教育に関わっている方なら、一度は触れたことがあるのではないでしょうか。
RCX、NXT、そしてEV3。
長い間、世界中の子どもたちがロボットを作り、プログラミングを学ぶための入り口になってきました。
私自身も長くロボット教育やロボット競技に関わる中で、Mindstormsは本当によくできた教材だったと感じています。
しかし、製品としてのMindstormsがなくなった今、改めてその歴史を調べてみると、一つのことに気づきました。
Mindstormsは、そもそもロボットから始まったのではありませんでした。
原点にいたのは、シーモア・パパート
その歴史をたどっていくと、MITの研究者シーモア・パパート(Seymour Papert)にたどり着きます。
パパートが考えていたのは、単に「子どもにコンピューターを教える」ということではありませんでした。
むしろ、
コンピューターを使って、子ども自身が考える。
そのための環境を作ろうとしていました。
パパートの考えはプログラミング言語Logoへつながり、やがてMITとLEGOとの共同研究、Programmable Brick、そしてLEGO Mindstormsへと発展していきます。
つまりMindstormsを理解しようとすると、RCXが発売された1998年よりも、ずっと前まで歴史をさかのぼる必要があります。
なぜ今、Mindstormsの原点を振り返るのか
現在、子どもたちを取り巻く技術環境は大きく変わっています。
Arduino、Raspberry Pi、カメラ、3Dプリンター、生成AI、そしてフィジカルAI。
Mindstormsの時代には考えられなかったほど高度な技術を、子どもたちでも扱えるようになりつつあります。
一方で、技術の選択肢が増えたことで、
「最初に何から始めればいいのか」
「その次に何を学べばいいのか」
「なぜ、この技術を使うのか」
という学びの道筋は、むしろ見えにくくなっているようにも感じます。
だからこそ今、Mindstormsがなぜあれほど多くの子どもたちを夢中にさせたのか、その原点まで戻って考えてみる意味があるのではないでしょうか。
全6回で「Mindstormsが残したもの」を考えます
今回から全6回で、
「Mindstormsが残したもの――ロボット教育の原点と未来」
というテーマを掘り下げていきます。
第1回では、シーモア・パパートの少年時代の「歯車」から、ピアジェとの出会い、Logoの誕生、そして「Mindstorms」という名前が生まれた背景までをたどりました。
ロボット教育に関わっている方だけでなく、
「なぜ子どもにプログラミングを学ばせるのか」
「AI時代に子どもたちは何を学ぶべきなのか」
を考えている保護者や教育関係者の方にも、ぜひ読んでいただければと思います。
連載予定
第1回
Mindstormsは、ロボットから始まったのではなかった
第2回
思想が「動くもの」になった――MITとLEGO、Programmable Brickへ
第3回
RCX、NXT、EV3――Mindstormsは何を進化させてきたのか
第4回
MindstormsとScratchは、同じ木から生まれた
第5回
Mindstormsがなくなって、初めて分かったこと
第6回
次のMindstormsは、誰が作るのか
製品の歴史だけではなく、その背景にあった教育思想から、現在のロボット競技、AI、フィジカルAIまでを一本につないで考えていきます。









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